|
うちのおやじの接し方が上手だったと思う。頭ごなしに、「継げ!」ではなく、好きなことを何してもいいと…。ただ、「跡を継ぐ気があるならこんな勉強をしてくれないか」と、そんな言い方をしていました。もともと両親は薬剤師だったんです。ですから化学のことは、ある程度知っていました。まあ応用微生物とは違うんですが、こんなことをすればいいだろうなというイメージは、頭の中に描いていたようです。ただ、跡を継ぐんなら、経営とか経済とかは大学で勉強しなくても社会に出てからいくらでも覚える。応用微生物、今で言えばバイオの世界は学校に行って勉強しないとだめだろうと、そう言われました。もともと化学が嫌いなほうじゃなかったので、そういう学校を探しました。
当時、日本で醸造科のある大学は3つしかなかった。今から25年位前ですから…。その科にくる学生は、ほとんどが酒屋の息子、味噌屋の息子でした。醸造科に饅頭屋の息子が来たのは私が初めてでした。1号です。面白かったですよ。私の研究室には20人くらいの学生がいました。その頃に、今のいろいろなことの基礎研究をしました。化学というよりは応用微生物です。酵母の世界、イーストの世界です。もろみの中に、どんな微生物が関与しているのかをまず見つけだす。そんなことからはじめないと出発できない。それを見つけてきて、そいつがどういう名前で、どういう性格なのかを調べる。その見つける方法とか理論を大学で学びました。大学を出て名古屋に戻ってからが応用編です。でも、一人ではどうしようもない。それで愛知県の技術センターで共同研究といういうことになったんです。ギブアンドテイクですね。

|